こんにちは、僕アルフォンス・エルリックです。
兄さんとウィンリィがさりげなく青春していて少し取り残されている感のあるこの僕。
将来の夢がモテモテウハウハハーレムアルフォンス王国の建国だというのに未だフィアンセの一人もいないというのはどういうことなんだろうと思いませんか。
もてなければ建国すらできません。そこで僕らの周りにいる女性陣で気になる人に声をかけてみようと思います。
まずウィンリィは論外です。兄さんに怒られてしまいます。
そりゃ昔は取り合ったこともあったけれど昔は昔。
となると頼れるお姉さん、ホークアイ中尉でしょうか。
しかし中尉はかなりの美人のおねいさん。彼氏の一人や二人…ってさすがに一人でしょうがいる可能性も無きにしも非ず。
さり気に兄さんにも中尉の彼氏さんの有無について話をもちかけたところ、兄さんも気になっていたご様子。
すると、ちょうど兄さんが用があるということで東方司令部に行くことになりました。
僕らのひそかな企みも知らずに中尉は笑顔で迎えてくれて「大佐は現在軍議に出席しているからもう少し待っていてちょうだいね」と優しく教えてくれたのでした。
何という幸運でしょうか。さすがに異性の上官がいる前でそんなことを聞かれたらさすがの中尉も恥ずかしいだろうからこれは絶好のチャンスです。こういうとき兄さんは平気で聴いちゃうんでしょうが出来る男の僕はそんなことはしません。それぐらいできなきゃモテモテウハウハハーレム王国の建国は不可能です。
兄さんの分のコーヒー(とてもまずいらしいですが僕は飲めなくてラッキー)を運んできた中尉に僕はさりげなく聞くことにしました。
「あのぉ中尉、ちょっと質問があるんですがいいですか?」
「どうしたの?アルフォンス君」
相変わらずの笑顔を向けてくる中尉に少し躊躇したもののここで逃げたら男が廃る。。アルフォンス・エルリック(14)行け!
「中尉ってお付き合いしている人っているんですか」
一瞬目を白黒させた中尉。少し困った顔をしながらこう聞いてきました。
「お付き合いって……恋愛関係の異性がいるかってこと?」
「深い意味はないんです。ただ、中尉って美人だからもてそうだな〜って」
「そういった意味ならばいないわよ」
そうかいないのか。意外だなぁ。若干僕は安心しました。
「あれ。大佐はどうなの?」
僕らの会話に割って入ってきたのはそれまで黙って聞いていた兄さんでした。
確かに大佐と中尉の関係はいろいろ意味深なところがあって僕もそこは気になっていたけれども。まさか鈍感そうな兄さんがそこに気がつくとは。いや、むしろ、兄さんが気がつくほどの仲なのか?
そんなことを考えていた途中ふと感じたもの、それは、殺気でした。
そしてそのさっきは恐るべきことに中尉から出ていたものでした。
「大佐…?」
さっきまでの柔和な雰囲気はどこにいったのか、恐るべきオーラが中尉から放出されていました。
「いや、あの、なんか仲よさそうだなと思って……ふ、深い意味はないから!」
兄さんが焦って弁明の言葉を口にしました。僕も何か言おうと口を開いたところふっと中尉の殺気は消えました。
さっきまでの雰囲気は何だったのか、というぐらいまた元の中尉に戻っていました。
「それならいいのよ。でもね、エドワード君。そういったことは気軽に聞いちゃいけないことよ」
にこりとしながら中尉は言いましたが僕らにはとても本当の笑顔とは思えませんでした。
それにしても中尉のあの態度は何だったのか。
あとでホテルに帰ってから兄さんと恐る恐る話し合ってみたところ中尉と大佐の間には一ミクロンもそういった関係は存在しないという結論に達しました。むしろそんな結論に達さないと僕らの命が……ゲフンゲフン。
さてさてそんなこんなでいきなりアルフォンス帝国は出鼻をくじかれてしまいましたが、こんなことであきらめる僕ではありません。いつの日か、必ず完成させて見せます。
その時は…あなたもいかがですか?
余談ですがあの後いつまでたっても大佐は戻ってこなかったのでしびれを切らせて帰ろうとしたところなぜかトイレで泣いている大佐を発見しました。
軍議が早く終わったから戻ってみれば…中尉……とかなんとか呟いているように聞こえたような聞こえなかったような。
ったような。
記念すべき最初の小説がこれというのはこのサイトにおける大佐と中尉の関係についてあらわしているようです。
殺気を出す中尉とトイレで泣く大佐が描きたかっただけです。
09/11/02